JENAGURU(ジャナグル)

ジンバブエのダンス&ミュージック・グループ。
原宿CROCODILEでのライブに行って来た。
 
トラディショナル・スタイルの前半と、
休憩を挟んでのモダン・ポップな後半の2部構成。
 
マイクのチェックにでも来たのかな?ってぐらいに、
なんとはなしにステージに現れて座り込んだアフリカンが、
ポロポロとムビラ(親指ピアノ)をつま弾き始める。
ん?と思っているうちに、始まってるんだと気づく(笑)。
なんか、このノリ、好き。
 
そこへ、もう一人が現れ、
ホショ(木の実でできたマラカスのようなもん?)で絡んでく。
チャッ、チャッと歯切れ良くリズムを刻むのではなく、
チャーハンの達人が中華鍋を振ったときに
米が時間差で落ちてくような音を出す。
そんな、糸を引くようなリズムが、最初は気持ち悪いんだけど、
だんだん心地良くなり、しまいにゃ病みつきになる。
なんか、セカセカしてないじゃん。
 
曲が終わると2人は去り、今度は女の子が、
やはり、なんとはなしに座り込んで、ムビラを奏で出す。
しばし、続いたソロ。
ムビラの音だけじゃなく、
影のように後を追うリズムが聞こえてくる。
ソロなのに。
その音はムビラの鍵盤(?)が振動している音だった。
シンバルが共振したような、シャララーンと震えた音。
狙って出しているのか単に物理的な音なのかわからないけど、
これが、とってもイイ。
 
そんなソロに、ホショやンゴマ(太鼓)が加わり、
歌い出し、ダンサーが踊り出し、
全メンバーでのショーがスタートした。
以後、とにかくダンサブル。
ダンス&ミュージック・グループだから当たり前ですね。
ダンスは躍動感に溢れ、
いずれ、ゲーム性の高い競技以外の全ての金メダルは、
この人たちが取るだろうことを確信する。
 
休憩後の後半は、前半で伝統楽器を演ってたり、
ダンサーだった面々が、ギターにベースにスティックを手にし、
アフリカン・ポップミュージック・バンドに早変わり。
もちろん、ダンスは欠かせない。
女の子2人は、前半同様、歌い、踊る。
 
ちょっと、脱線するけど、この2人の踊り、可愛いのだ。
男のダンス共々、日本人から見たら、野性的に感じるダンス。
時には暴れてるようにも見える。
でも、確実に、女の子のダンスには“女の子の”可愛さがあるのだ。
きっと、人間には文化とか教育とか、そんなものとは関係ない、
先天的なものとしての、ここで言えば「かわいい!」と感じる
感覚上の基準があるんじゃないだろうか。
それは、ほんのちょっとした、
掌や腕や足の向きや角度であったりで、
日本人だろうが、アフリカ人だろうが、ヨーロッパ人だろうが、
同じように「かわいい!」と感じさせる気がする。
 
女の子のうち一人はボーカルもとる。
時折、甲高く長い声を上げる。
甲高い声というのは、どちらかというと、
耳障りな音の部類だと思う。
頭にキンと来るとかね。
なのに、この声が驚くほど、体にスッと入ってくる。
“聞こえる”じゃなくて、“入ってくる”。
どこから、そんな声、出してんだ?
頭からとか、腹からとか、そういう“どこ”じゃなくて、
なんて言うのだろう、ハートの“どこ”からかみたいな。
 
今回のライブで、思い浮かべたアーティストが3組いて、
これが僕的に、おもしろかった。
DJ光光光とCHEMICAL BROTHERSSIGUR ROS
方角は違うけど、JENAGURUと正反対な気がしてね。
DJ光光光は彼のミックスCDの中に、
先の女の子の声に似た声を聴いたように思って。
CHEMICAL BROTHERSは、好きな曲のリズムとそっくり、
いや同じ?、ぐらいなリズムの曲をJENAGURUが演ったので。
この2組は共にデジタルだしノイジーだしな音で、
JENAGURUの音とは正反対。
そして、SIGUR ROS
JENAGURUの陽気で躍動感に溢れた音は、
強烈な生命力を見せつける。
正反対にSIGUR ROSは、
静寂と嵐の中をさまようような音を出す。
でも、さまよい出た先に、だからこその強烈な生命力が輝く。
出自であるアフリカとアイスランドという風土も正反対。
奏でる音も正反対。
でも、両者とも強烈な生命力ってものの存在を感じさせてくれる。
 
バンドメンバーは一人を除いて20前半ぐらいの若い子たち。
リーダーでボーカルのベテランが挨拶でこんなことを言った。
 
「我々は一人のフロントマンが脚光を浴びるようなバンドじゃない。
 皆がそれぞれに見せ場を持ち、評価を勝ち得ていくんだ」。
 
それはジンバブエという国そのものが目指していることかも。
 
なんだかんだ書いたけど、「楽しかった!」、
この一言が今日のライブを最も言い表す言葉かな。

ただ今のBGM

JENAGURU(ジャナグル)『Kumusha』
会場で買った2枚のうちのトラディショナルな方。
ムビラの音色が美しいです。
ライブとはまた違った雰囲気で、曲によってはミニマルな感じも。